天領　原酒55　純米吟醸

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この日は夕食を和食と決めていたのでたまたま立ち寄った百貨店で色々と日本酒をチェック。
その中で黒と金の目立つラベル、かつ「本数限定品」と書かれたいかにも的なこちらの日本酒が目に入った。
今まで飲んだことのない酒蔵のお酒で加水なしの原酒ということもあって試しに購入してみた。
色は僅かにグリーンのニュアンスを感じられるかどうかという感じ。
しっかりと輝きがあり、原酒ということもあってか僅かにトロみを感じられる。
粘度はかなりあり、グラスの縁をゆっくりと時間をかけて脚を出しながら落ちていく。
香りは比較的シャープなタイプ。
しっかり熟したバナナのような華やかな吟醸香をしっかりと感じられる一方で穀類のニュアンスはほぼなく、日本酒感も控えめ。
口当たりは少し舌に絡みつくような感じもあり、ジューシーで豊かな果実を思わせるような甘みをアタックで感じられる。
中盤にはその甘みに加えてふくよかで上品な米の旨味と共に酸をアクセントで感じられる。
余韻も優しく滑らかで、鼻の奥に抜けていくアルコール感が心地よい。
豊かな吟醸香と濃厚な甘みを感じながらも上品で柔らかな舌触りを楽しめる加水なしの原酒らしい落ち着いた味わいの限定酒。
＜アルコール度数17%、精米歩合55%＞

この日は筑前煮とタコときゅうりの酸和えと合わせてみた。
筑前煮は定番のレンコンやにんじん、ごぼうなどの根菜を鶏肉と共に少し甘さを強調して濃いめに仕上げてみた。
野菜の甘みとも相まってしっかりとした味わいだが、同じ甘みが強めの系統の日本酒ということもあってか相性は悪くない。
ただ、逆に同じ系統かつお互いに甘みが強めということもあってか、少々食べ疲れ、飲み疲れしてしまう気もしなくはない。
オリーブオイルとお酢で合わせたタコときゅうりのマリネは酸とオリーブオイルの味わいが比較的しっかりと感じられ、そこにタコの風味も加わるので相性は良くないかと思いきや意外とお互いを邪魔しない。
濃厚で甘みのニュアンスが強めな味わいではあるが、料理との相性の幅は広い印象。
全般的に塩味よりも甘みとの相性が良さそうな印象で、魚系と合わせるのであれば焼き魚というよりも煮魚系と合わせた方がよりマッチするような印象であった。
＜マリアージュ指数：3可もなく不可もなし＞