エティハド航空ビジネスクラス 成田~アブダビ 871便 B787=シート・設備編= (2017/08)



(2017/09/22記載)
※本レビューは「シート・設備編」と「機内食・ワイン編」および好みの席を見つけるためのコツを記載した「座席配列確認方法編」に分けて掲載します。

2017年8月下旬、クウェートに行く際に利用した。

エティハド航空の長距離便ビジネスクラスは実に3年ぶりの利用という事もあり、その間に発着時刻や機体が変更されていた。
機体はA340からB787へとプラス方向に変更されていたが、発着時刻は残念ながら大幅に改悪となった。
以前は夜21時以降の出発であったので余裕をもって移動できたが、2017年3月下旬のダイヤ改正で成田発が16時半と大幅に前倒しとなった。
よって、横浜から移動の場合、出発時間が17時から13時過ぎへ前倒しとなり、実質半日しか使えなくなってしまった。

一方の機体変更による座席のアレンジメントや食事の提供方法の変更だが、こちらは以前と比較すると非常に改善されていた。

まず座席だが、A340を使用していた時代はスタッガードタイプでありながら、機体中央席の通称「カップルシート」の評判が非常に悪かった。
その教訓を活かしてか、B787のシートはスタッガードタイプながら非常に特殊な「後ろ向き座席」を設定したタイプに変更されている。


写真左側が機体後方だが、座席がそちらの方向を向いているのが少々特殊。

スタッガードタイプの座席は一席あたり「L字」型のスペース(フルフラット時のベッド部分とサイドテーブル部分)を占有するので、これをそのまま全席に適用すると非常に無駄になる。
そこで考えられたのがL字を反対側に向けて2つ組み合わせて場所を節約する方法。
こうすることにより場所の効率利用はできるが、一方で進行方向後ろ向きに座るという特殊なシートが生まれる。
後ろ向きシート自体は座ってしまえば気にならないが、やはり離着陸時や加速減速時に反対方向に力を感じるという不都合?はどうしても生まれてしまう。

一方で大変不人気であったカップルシートだが、これは大幅に改善されていた。
以前のスタッガード配列は、「L」を同じ向きに配列し、「Lᒧ」の形と「ᒧL」を組み合わせることによって出来るだけ無駄なスペースを減らしていた。
よって、機体中央部の2席については、座席が通路側に配列される列と、中央寄りに配列される列があった。
座席が通路側に配列される列については大きな支障はなかったが、中央側に配列される列は、互いの席の距離が非常に近く、あえて「カップル向け」と割り切っていたのだろうか、可動式のデバイダーもあまり機能していなかった。
よって、結果的にはかなり密着度の高いカップルシートとなっていた。


しかし、今回の機体・シート変更により、カップルシートの間にかなり高さのあるデバイダーが導入されたので、そのデバイダーをあげてしまえば、他のシートと同様にかなり高いプライバシーを確保することができる。
その弊害が「後ろ向きシートの設定」となるのだが、どちらが良いかは難しいところ。


こちらが後ろ向きの機体中央席。
シートを後ろ向きにすることによりスペースを効率的に使いながら隣席との距離を保っている。
ただ、2名での移動の場合は、間違いなく「新カップルシート」の方が使い勝手が良いので、この席は一番のハズレ席と言わざるを得ない。


こちらは今回利用した9K。
窓側に座席があり、通路側がサイドテーブルとなっている。
個人的には一人での利用時の一番良い席という印象。


9Kの窓からの眺め。
この機体はファーストクラスの設定もあり、ビジネスクラスを含めると主翼付近までを占有する。


こちら一人席の後ろ向き席かつ通路側が座席(窓側にサイドテーブル)というタイプ。
出来れば一番利用したくない一人席。

座席番号からどのタイプの座席か(前向きカップルシート・後ろ向きカップルシート・一人席前向き窓側シート等)を見分ける方法は別途掲載予定。

さて、座席自体だが、総じて悪くはないアレンジであった。


まずはシートピッチから。
若干先が狭いアレンジになっており圧迫感があるが、以前のA340の座席と比べると十分許容範囲。


オットマン下には靴を収納できる十分なスペースがある。
女性用の小さいハンドバッグであれば合わせて収納可能。


座席横にはエティハド航空のシェードライトが設置されいる。
この写真の下に写っているひじ掛けは開閉式になっており、中は小物入れとなっている。


この小物入れはサイズ的にはiPadが入る程度で、手帳や眼鏡ケースなどを入れても十分にスペースがあり使い勝手は悪くない。


座席とコンソールの間にはペットボトルを収納する隙間がある。
ペットボトルの右側に見えるコンセント状のものだが、こちらはヘッドホン用のジャック。
形状が特殊で少々使いにくい。

ダイニングテーブルだが、これが少々特殊なつくりになっている。


まずは、ディスプレイ横の壁の部分からテーブルを引き出すことから始まる。
写真中央部分に写っている縦の板状の部分がテーブルになる。


それを壁の部分から引き出したところ。
かなりの厚みとボリューム感があるが、思ったより重くない。


完全に引き出したところ。
見ての通り一枚板なので、引き出してからサイズを変える必要はない。


そのまま手前に倒すとテーブルになる。
壁にフィットするので物を落とす心配もなし。


食事をするときは上記の写真の位置で問題ないが、窮屈な場合はディスプレイ側へ押して位置を調整することも出来る。

座席・テーブルは作りやサイズ等は他社とそこまで大きく違う点はないが、「座席の操作」という点ではこの機体は非常に先進的な取り組みを行っている。


全ての操作(読書灯の操作やウィンドーシェードの操作さえも)をタッチパネルで行えるようになっており、かなりの電子化を推し進めている。


メニューを操作することによって、各種ライトの消灯および明るさの調整が可能。


シートモードの選択もこちらからタッチパネル経由での操作が出来る。


またシート位置の微調整も同様に行える。
シートを前後に動かす機能はオットマンまでの距離を調整するときにかなり使える。
背もたれの角度を調整する機能は他社でもある、座席の位置を前後に動かす機能を独立して備えているビジネスクラスシートはエティハド航空以外では無いと思われる。


シートの固さの調整までもこのタッチパネルから可能。


窓の電子シェードの調整も行える。
電子シェードを席に座ったままでタッチパネルで操作できるというのは何とも先進的で御白い機能。


上記のタッチパネルからの操作以外にもある程度の操作であればカクテルテーブルに設置されているボタンで行うこともできる。

また、Live配信でNHKプレミアムやBBCなどが機内で無料で見られるのも非常にうれしいサービスであった。
一方で、選択できる言語が英語かアラビア語のみなので、いずれかの言語を理解できない人には少々ハードルが高い。
なお、飲み物の注文も、メインのタッチパネルから行うことができる。
こちらは別途「機内食・ワイン編」で改めてレビューする。

折角なのでトイレの内部も確認してみた。


なかなか上品な造りになっており、「機内のトイレ」という機能性優先の造りではなく、デザイン性も考えられている。


こちらもB787名物のトイレ内の窓が設置されていた。
A350XWB等では設定がなく、トイレ内の開放感を高めるアイテムとして、個人的にはB787のお気に入りポイントの一つ。

A340からB787への機体変更およびシート配列変更によりかなりの部分が改善されたが、一方で後ろ向きシートについては賛否が分かれるところ。
最近ではカタール航空が家族やグループでの移動を想定した4名向かい合わせのボックスシートタイプのビジネスクラスシート「Qスイート」を発表したが、ある意味このシートアレンジはその走りとなったのかも知れない。

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